点字について
点字は、視覚に障害のある方々が触って読む文字です。
みなさんが目で文字を読んで、色々なことを知ったり、伝えたりするのと同じように、点字は見えない、見えにくい人にとって大切な文字です。
みなさんも身のまわりにある点字の存在に気付いたことはありますか?
点字がどのような文字で、どうやって発明されたのか、点字のことを少しだけご紹介します。
点字の概要
■点字の歴史
点字はフランスが発祥の地です。
もともと、軍人用として、夜間でも触覚だけで読める暗号用文字として使っていたものを、1825年、パリ訓盲院の教師だったルイ・ブライユ(1809~1852)が視覚障害者用の文字として改良し、現在の6点点字を考案しました。
この点字は、1854年にフランスで正式に採用され、現在では世界中で使われるようになりました。
■日本の点字の「始まり」は?
現在日本で使用されている日本語の点字は、石川倉次により考案されました。これは、1890年(明治23年)11月1日に東京盲唖学校内の点字選定会で正式に採用されました。
■点字の特徴
1.6つの点の組み合わせでできている
6点の組み合わせで、かな、数字、アルファベット、それに各種の記号類も表しています。1点でも違うと全く異なった文字になってしまいます。
2.触れたところしか認識できない
墨字は視野に入る何文字かを同時に認識することができますが、点字は指先に触れたところしか認識できません。
3.すべて横書き
墨字は横書きと縦書きを使い分けることができますが、点字はすべて横書きです。
4.変化が無い文字
墨字は文字の大きさや字体を変えられますが、点字は文字の大きさや字体が一定で、変化がありません。
5.仮名文字体系
墨字は漢字仮名交じり体系ですが、点字は仮名文字体系です。表音文字なので「ひらがな」「カタカナ」の区別がありません。
そのため、内容を誤解されないように語の区切りを明らかにする意味で「分かち書き」をして書きます。
(例) 明日は/朝から/とても/天気が/いい。
※「分かち書き」とは、/の箇所を一マスあけて文章を書く点字独特の表記手法
■点字の意義
点字は、文字の読み書き、読書、学習、コミュニケーションの手段として用いられています。
さらに、選挙の際の点字投票や点字による請願署名、資格取得や進学・就職などのための点字受験など、視覚障害者にとっては、欠かすことはできない文字となっております。
一方で、点字を使用している視覚障害者が少なくなっているというのも事実です。身体障害者手帳保持者のうち、1割程度という統計もでています。
特に高齢で中途失明された方にとっては、点字を習得することは非常に難しく、利用が少ない一因となっています。
また、ITやインターネットなどの進化により、音声媒体などで、情報を取得することができるようになり、情報取得手段の選択肢が増えました。
特に中途で失明された方にとっては、耳で聞くだけで利用しやすい音声媒体を利用するのは自然な流れかもしれません。
しかし、点字は一度習得することで、個々のペースで文字の読み書きができるので、知識を構築したり、考えを整理する上で、非常に優れています。
音はその場で消えてしまいますが、点字は幾度となく確認することができ、確実に自分の知識に蓄積できる強みがあります。
現在、点字本などは主にパソコンの点訳ソフトによって作成され、点字データとして活用されています。
その活用方法は、点字プリンターで紙に出力して利用するだけではなく、パソコン上で視覚障害者用の音声読み上げソフトを用いて、音で聞いたり、点字ディスプレイ等の機器で、幅広く利用されています。
このように点字は、コンピュータによる点字と墨字との相互変換により、効率性に加えて、共通性でも優れた文字であり、時と場面によって、情報の利活用が格段に高まります。
点字の書き方・読み方の基礎
■点字の構成
点字は縦3点、横2点、計6つの点で構成されています。この6つの点の組み合わせを1マスと呼びます。
この1マスがひらがな50音一文字を現します。この組み合わせで言葉を作ります。「愛」なら「あい」と2マス使い表現します。
点字はすべて横書きです。本を読むように、左から右に読むことになります。
■点の配置
それぞれのマスの中の点には番号がついています。この番号は、読む時の凸面を基準に左側の点が上から1・2・3、右側の点が上から4・5・6と順番に振られています。従って、打つ場合は、この番号が逆になります。
■点字を打つ
凹を作るため、「右から左」に打っていきます。また、点の配置も、読む時とは逆転します。従って「あ」は1番に1つの点(左上)で表しますが、打つ時の1番は、右上になります。
●母音の表示
①②④の点で母音(あいうえお)を表します。
●子音の表示
母音(あいうえお)と③⑤⑥の点を組み合わせて子音を表します。